銀星石

銀星石/Wavelite

この美しい和名は命名された当時に多く出回っていたボヘミア産の白色の標本から鉱物学者によってつけられたといわれています。

その後、黄色や水色のものなども出てきて、現在では薄い緑色のアメリカアーカンソー州のものをよく見かけます。

銀星石は宮澤賢治の『春と修羅』にも牛酪(バター)に見立てられて登場します。


つめたいゼラチンの霧もあるし
桃いろに燃える電気菓子もある
またはひまつの緑茶をつけたカステーラや
なめらかでやにっこい緑や茶いろの蛇紋岩
むかし風の金米糖でも
wavelliteの牛酪でも
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな
大きな乾葡萄(レジン)がついてゐる
みやまうきゃうの香料から
蜜やさまざまのエッセンス
そこには碧眼の蜂も顫える

日本産の銀星石は白いものばかりなので、そんな風にたとえたのかなあと思ってみたり……
どちらかというとカッテージチーズみたいかもしれないですが……

先日、カフェにお越しくださったお客さまに「白色の銀星石を探している」とたずねられました。
「緑色に比べてあまり見かけない」とお答えしましたが、翌朝、カフェに置いてあった銀星石をきらら舎倉庫へ移動しようとした際に、結晶はまさに朝陽を反射して白銀色に輝いていたのです。
銀星石の割れた面を見た時、放射状の結晶の伸びの方向には、透過光成分をより多く反映した緑色の色調が現れますが、それと直角な方向では結晶粒界や劈開面からの反射が勝り、銀白色が現れます。朝の光が強かったのと眺めた角度によって、銀色を見ることができたようです。

なお、賢治の詩にも登場する銀星石の英名「Wavelite」はこの鉱物を発見した英国医師のW.Wavellに因んでいます。

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